2012年05月14日

『転ばぬ先の 転んだ後の「徒然草」の知恵』嵐山光三郎著

 恥ずかしながら、「徒然草」をちゃんと読んだことがない。だから、「方丈記」と混同している所もあるぐらいの知識しかない。今回、「スティーブ・ジョブズの信条は兼好に通じている!」という帯に惹(ひ)かれてこの本を手にした。

転ばぬ先の転んだ後の「徒然草」の知恵

新品価格
¥1,260から
(2012/5/14 22:14時点)



 読み始めたころは、いまひとつピンと来なかった。「一日の命、万金よりも重し」、「利に惑ふは、すぐれて愚かなる人なり」教訓カレンダーを読んでいるみたいだった。

 しかし、嵐山さんの明快な解説のおかげで、目からウロコが少しずつ落ちていった。例えば、「今で言うと、寺院は大学だから、法師は教授であり、学問を学ぶと同時に人にものを教え、道を説いたりする人だった」というひと言で、この世界が身近になった。さらに、嵐山さんの体験を重ねて語ってくれるので、700年前の言葉が活(い)き活きと立ち上がってくるのだった。

 まず、名人を語る含蓄のある言葉が琴線に触れてきた。「勝たんと打つべからず、負けじと打つべきなり」(双六)、「よき細工は、少しにぶき刀つかふといふ」(細工師)

 兼好法師は、世捨て人になりたいと思いながら、現実社会への未練を捨てきれなかった人のようだ。だから、ものを見るときにも、一面から見る危険を知っていたという。こういう、一筋縄ではいかない、したたかな人物だったので、シンプルな言葉の裏には別の意味が隠されていることもあるようだ。例えば、「大欲は無欲に似たり」という言葉。ここには、財をなすことを否定しながら蓄財に興味を持ったという兼好の奥深さが投影されているという。

 嵐山さんは大学受験で失敗したときや、30代で会社を辞めて苦労したときに「徒然草」を読み、そのたびに発見があったという。たしかに、兼好が見つめていた無常、死と隣り合わせであるという認識を理解するには、それなりの人生経験が必要だろう。

 「花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは」、人生の盛りを過ぎたぼくとしては、「徒然草」をじっくり読み、この無常の世の趣をしみじみと味わえる境地にたどり着きたいと願っている。

タグ:徒然草
posted by くりおね at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月13日

小室直樹著【消費税は民意を問うべし】なぜ消費税は悪税になり果てたのか?

 

消費税は民意を問うべし ―自主課税なき処にデモクラシーなし―

新品価格
¥1,680から
(2012/5/13 04:44時点)


平成22年9月、日本は重大な人物を失いました。

 政治学、理論経済学、数学、社会心理学など、あらゆる学問に精通した知の巨人、小室直樹博士その人です。

 生前、書き下ろしをお願いした編集部にご快諾をいただき、その準備に取りかかられた矢先の訃報でした。

 最新作のテーマは政治について。タイトルは『政治を志す若人のために−国民こそ唯一の権力者である』と決まっておりました。

 本書はご遺族に、政治について、小室先生の過去の著作を出したいと無理をお願いし、刊行にいたりました。その著作は消費税法が成立した直後、1989年刊行の『消費税の呪い』で、簡易課税制度こそ消費税における象徴的な脱税の温床であると看破した快作です。消費税によって公然と行われる徴税の不平等は、デモクラシーを殺すと激しく批判しています。

 本書は、その改訂復刻版になります。編集部としては、書かれなかった小室先生の最新作に代わって、読者の皆様に先生の叡智(えいち)をお届けできればという思いに駆られての所作です。

 「できれば若い人たちにも読んでもらいたい」−生前の小室先生は著作について、常々このようにおっしゃっておられました。

 なんのしがらみも既得権益も持たない若い人でなければ、この日本は変わりそうにありません。ただ、国家と税と国民の関係、政治の正体、民主主義の真実などを学び、社会を変えて行くしかないのです。本書がその一助になれば幸甚です。


消費税は民意を問うべし ―自主課税なき処にデモクラシーなし―
posted by くりおね at 04:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月27日

【僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?】「働いたら負け」は本当だった!?

 みなさんは、今の自分の働き方に満足しているだろうか?
 その働き方を、ずっと続けていきたいと思っているだろうか?
 満足していると思う人もいるかもしれないが、大半の人は「このままでいいのか」「なんでこんなに働かないといけないんだろう」と思っているのではないだろうか。

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

新品価格
¥903から
(2012/4/27 20:00時点)



 毎日のように残業しても、この不景気では給料アップも見込めない。出世をしても責任を押し付けられるだけ。かといって次の就職のあてもないから、やめるにやめられない…。

 よくネット上で、就職についてこんな表現が使われることがある。
 “懲役40年”。
 これは、就職してから40年もの間、ずっと働かなければいけないということを意味する。そして事実、働くことは苦役なのであり、私たちはしんどさを感じながら定年までの40年以上を働き続けなくてはいけないと思っている。

 では、どうしていくら働いても楽になることはできないのだろうか。
 木暮太一さんは、『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(星海社新書)の中で、その答えを知るためには、「資本主義経済の根本的な構造・仕組み」を理解しなければならないと説明する。

そこで木暮さんは、ロバート・キヨサキの世界的ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』と、経済学の古典であるマルクスの『資本論』の主張をもとに、「どうすれば、労働者はラットレースから抜け出せるのか?」「どうすれば、しんどくない働き方、幸せな働き方をすることができるようになるか?」について語る。

 給料が上がれば楽になる、転職すれば楽になる、大企業に行けば楽になる、そんな風に思っている人もいるかも知れない。しかし、『金持ち父さん 貧乏父さん』や『資本論』に基づいて考えていくと、結局は楽にはならないというのがオチになる。

 いわゆる、働いたら「負け」状態であるといえる。
 どうすれば「負け」から抜け出すことができるのだろうか。そのための鍵として、資本主義の構造を学ぶことが大切になる。

 20代の男性書店員は「まさに自分のことを言われてる気がします」と言ったが、本書を読んで、そう思う人は多いに違いない。“懲役40年”の刑から、かの映画「ショーシャンクの空に」の主人公、アンディ・デュフレーンのように脱獄するために、どうして今、自分はこんな働き方をしているのかということについて考えることは重要なはずだ。

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)
タグ:働き方
posted by くりおね at 20:03| Comment(1) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする